東北(22)〜石巻 08〜

石巻

帰りの電車の時間も迫り、来た道を駅に向かって歩いていた途中の出来事。

後ろから「写真撮ってきたんか〜?」と声をかけられました。それがこの方。またしてもぶら下げていたカメラが一役買ってくれました。このカメラは一体どれだけ仕事すれば気が済むのか。コンパクトカメラではそうはいかなかったはず。

聞けばこの方も、山へ行って写真を撮ってきたとのこと。バッグから一眼レフを取り出し、その日の収穫を僕に見せてくださいました。美しい緑の景色と、他にはなんと野生のリスやサルが写っていました。羨ましい。

「家に一人でおっても、ロクなこと考えんでのう」

会話の中から仮設住宅で暮らしている事を知り、ズシンと胸に響いたこの一言。ロクな事って、なんだろう。それ以上詮索はしませんでしたが、一眼レフカメラを持っているし、果たして今どんな暮らしをされているのか、正直なところ興味はありました。でも、この時はとにかく「話を聞こう」と心に決めて、楽しそうに写真の話をするのをただただ聞いていました(もちろん絶妙な相づちを打ちながら)。本当に楽しそうに話して下さいました。僕も楽しかった。

石巻

少し前に触れた、橋の上に住宅(一軒家)が丸ごと乗っかっていたエピソードを教えていただいたのは、この方。冗談でも何でもなく、当時はこの橋を渡るのに、乗っかった家の玄関を通り抜けないといけなかったそうです。一体どんな心境だったことか。想像に難い。

僕のような第三者から見ると、復興はまだまだと感じますが、被災当時と比べたら交通は機能しているし、ありがたいとも仰っていました。たった15分程度ですが、とても有意義なひととき(続きます)。

Date: 12/07/05