2344|今年の思い出、今年のうちに
息子が今よりも幼い頃、妻が自分のごはんを盛って食べるのもままならないというのでお弁当を作っていました。お弁当作りは楽しい。サイズが決まっているのがとてもいい。枠組みがあるからこそ自由を発揮できる。ほぼ毎日作っていたけど、少し動ける余裕も出てきた頃にやめました。もう少し息子が大きくなったら、今度は息子のために作る日が来るかも知れない。一緒に作るかも知れない。お弁当作りは楽しい。
息子は2才になりました。会話もなんとなく成立し始めて「生き物→人間」として見るようにもなりました。成長が著しくて、夫婦で後手後手になりながらも何とかやりきった一年。4月から保育園も始まり、彼はお土産にいくつかの菌やウィルスを持ち帰ってきてくれました。自分には手足口病を、妻には溶連菌を。瞬間的に一家全滅、みたいな時期もありました。そんなことがありながらも、日に日にかわいさが増しています。この頃は「父ちゃん、母ちゃん」と寝言を言います。
大中の農家・小林めぐみさん(こばやしファーム)の畑。仕事でも何でもなく、ただ撮りたくて撮らせてもらいました。だってもう、素晴らしくって。生きている、より、活きている。そんな表現がよく似合います。佇んでいるだけで、少し元気にもなれます。この場所で妻が最近「畑の景色 12ヶ月」という畑のツアーを始めました。忖度なしでとても素晴らしい企画なので、もし良かったらチェックしてみてください。
「松の司」のきき酒会に参加。今年は関わる機会が少なかったので「最近どうですか?」も兼ねて。同じ銘柄でも毎年味わいは少しずつ変わるのが、お酒がおもしろいことのひとつ。飲み始めた頃はそんなこと思いもしなかった。特定の商品のファンでも、その年によって好みから外れる、なんてこともあるし、その逆もある。ひとつのことを追い続けると、いろんな気付きが増えて深みが増します。あくまで趣味の範疇ですが、来年はペアリングを真剣にやります。よりお酒を楽しむために。
出張で山梨へ行きました。ずっとお付き合いのある方が横浜から山梨へ移住して、事業の形態も心機一転、というタイミングでブランディングのお手伝いを担当。主な取り扱いは「漆」。漆器だけにとどまらない、もっと広い視野で漆の魅力を伝える活動をされています。漆、実は欠かせないですよね。
秋に5回目の淡海鮨会も開催しました。正式にメンバー入りした「さとけん(写真右)」も加わって、4人になったメンバーでより満足度の高いイベントになってきました。40歳を過ぎてからのバンド活動と捉えて楽しくやっています。繋がりなく集まった割には奇跡的にバランスが取れているのがおもしろい。ちなみに自分はドラム。来年もまたやります。
NPO法人愛のまちエコ倶楽部さまのWebサイトリニューアルを担当しました。かれこれ4年がかりのプロジェクト。打ち合わせ回数は過去最高でしたが、なるべく丁寧な説明を貫きました。長いプロジェクトとM-1は後半にダレるとすべてが台無しになるので、納品まで細心の注意を払いました。たくさんの議論にも積極的かつ楽しくお付き合いくださるお客さまで、とても有意義でした。
ファインダーは今年も息子に向けられる機会が多く、その表情豊かな姿を撮っては家族で楽しんでいます。何気ないワンシーンも、いちいち惹かれるんですよね。しかも「これ以上の味付けいらん」くらいのレベルで。撮ろうとしてるのにカメラに向かってくるのだけはやめて欲しいです。自分が写れない代わりに眼差しを残します。
昔ながらのあられをつくる七福堂製菓さまの新商品「しちみあられ」シリーズのパッケージを担当しました。定番商品とは異なる、百貨店や高級スーパーに並ぶ位置づけ。懐かしさの中にも新しさを感じるような着地を目指しました。これまでは制作だけの関係性でしたが、10年近いお付き合いの間に積み重ねたコミュニケーションを活かして、来年からデザイン視点で経営を支えるパートナーとして新たな関係を結ぶことになっています。
長浜でクラフトどぶろくを醸造するハッピー太郎醸造所さまのブランディングを担当することになりました。松の司もそうですが、元々ただのファンだったのにお仕事ご一緒することになると、まず相当なプレッシャーがかかるところから始まります(徐々になくなっていくのですが)。どの仕事にも同じスタンスで取り組んでいるはずなのに、下手なことはできない、という意識が強まるんですよね。M-1もそうですが、そんな気持ちを持ったまま取り組むといい結果を生まないのは分かっているので、まず気持ちを整えることにけっこうな時間をかけた記憶があります。それだけにデザイナー冥利に尽きます。
Webサイトをはじめとした運営ツールを担当しているくさつFarmers’ Marketのリーフレットをマイナーチェンジしました。より「マーケットらしさ」が伝わるために、今回からマーケットを支えるサポーターの皆さんに協力してもらい、写真のセレクトやイラストをお願いした上で組み上げています。いちデザイナーの視点なんてたかが知れていて、より現場を知る人の手や意見も交えた方がより「活きた」何かが伝わるのでは、という実験でもありました。アイディアに共感してもらえたことにとにかく感謝です。ぜひ一度マーケットに遊びに来てください。
最後はこの写真で。
シャッターを切ったのは間違いなく自分ですが、何というか「撮らされた一枚」です。2週間前に行った松本旅行の夜ごはん、料理はとても美味しいのにサービスが最悪で気分が良くなかったんです。それを察したのかどうかは分かりませんが急に息子が「ここに立って」と言わんばかりに自分を引っ張り、本人はその先に座り込み、隣に妻を呼んで、勝手にポーズを撮った時の瞬間がこちら。2才のくせにディレクションできることに夫婦でメチャクチャ驚いたし、光の方向まで適切だったし、おかげさまで嫌だった気分も少し和らいだんですよね。子どもって、なんかいちいち越えてきます。
書き切れなかったことはまだまだありますが、写真が残っているものだけでも何とかカタチに…という状況だったので、どうか許してください。とっても疲れましたが、とても有意義で楽しい一年でした。こまめに振り返る時間をつくるつもりが、この体たらくです。でも我ながら一年よくがんばったと思います。関わってくださった皆さんも本当にお疲れさまでした。2025年もどうぞよろしくお願いします。
Date: 24/12/28 Photo: SIGMA sd Quattro + SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Art + SIGMA fp + Leica Lens