水うちわのデザインを担当しました

ここ数年来、大人気が続く「水うちわ」。有り難いことに、デザインを担当する機会をいただきました。茶屋長三郎彌助さまとのコラボレーション。水うちわとしてすでに確立された「日本らしさ」を踏襲したものでなく、新しい世界観を、それも最小限の要素で生み出せないか、というやり甲斐あるお題。一度目のアイディア出しで見事大コケした後、二度目の正直で何とか汚名返上。完成したのがこちらの2種。

水うちわ|オリジナル

まずは「SUIDEN」。大きさの異なる3種類のドットだけで表現した水田。空から見た日本の風景をイメージ。

水うちわ|オリジナル

二つ目は「KAWARA」。文字通り瓦屋根のシルエット。骨を放射線に見立てた合わせ技で、日本の日の出をイメージ。

どちらも近日発売予定。各デザイン完全限定10本です。

Date: 12/07/30 

商店街

武蔵小山の風景

商店街をブラブラしながら眺める、それぞれのお店の努力や工夫。人を惹きつけるアイディアもそこら中に転がっています。もちろん自分の仕事に反映できる要素もいっぱい。

賑わっている商店街は、アイディアの宝庫どころか宝石箱。マニュアルやセミナーでは教えてくれない鮮度にも溢れています。アイディアや情熱を体で感じること。これ大切。相手は生身の人間。賑わっている商店街を知っていれば、ぜひ教えてください。いつか商店街巡りの旅もしてみたいなと本気で思っています。

Date: 12/07/28 

土用の丑の日ウナギの日

武蔵小山の風景

今日は土用の丑の日。でも、あろうことかウナギの値段は絶賛高騰中。

あくまで験を担ぐものだし、お財布に負担をかけてまでウナギを食べることはないと思いますけど、実際のところどんな結果になるんだろう。これだけ不況だ何だと言われても多い気がするなぁ、買う人。風習がないと寂しい気もするけど、臨機応変に対応することも同じくらい大切なこと。凝り固まったり、ただ習慣というだけで動くのは良くない。僕の恵方巻きのように、この日に懸けてる人もたくさんいるのかな。いるだろうなぁ〜

ちなみに茶屋長三郎彌助では「ウナギの代わりにすっぽんいかが?」なアプローチ。価格は安くはないけれど、ウナギ高いならそれもありです。とにかく無理する必要はないでしょう。熱中症で倒れている人も少なくないと聞きます。一回の食事だけじゃなく、長い目で見て夏を乗り越える食事や体調管理が欠かせません。

なんて書いてしまうと食べたくなるから厄介ですね、ウナギって。ぽぽぽぽーん。

Date: 12/07/27 

ナイショの夜

西麻布のお店

パーティーの後は別のお友達(と言わせて下さい野口さん)と食事。「あぁ〜いいお店だったな〜、と最後に思えるお店に連れて行って下さい!」という、ワガママ果汁100%な僕のお願いに真っ向から向き合って下さいました。感謝感謝。まだ出会って間もないけれど、時間なんて気にしない。強く惹かれ合うものがあればそんなの関係ない。

お店の入り口には打ち水の跡があり、店内に入る前から心遣いが美味しい。気になる料理は、絢爛豪華な美味しさではなく、体の内側からじんわりと味わいが広がる、そんな「地に足の付いた」味。あくまで素材を活かすことを徹底した上で一工夫あり、心を楽しませてもくれる。なんて贅沢。料理から生産者を大切にされていることがひしひしと伝わってくる。

そんなご主人ともすっかり意気投合して、ワイワイと素敵な夜を過ごしました。いろんな話をして、今思い出してもニンマリ出来る楽しい夜。人生で一番美味しいと感じた日本酒にも出会いました。勿体ないから場所はナイショ。まだナイショ。

そんな時いつも思う。人に恵まれている。恵まれすぎている。

Date: 12/07/26 

「住むぞ都!」パーティーレポート

「住むぞ都!」出版記念パーティー

パーティー会場は東京・武蔵小山にあるシェアオフィス「スタジオ4」。もちろんはじめて。開場の雰囲気はこんな感じ。所狭しとお客さんが。

「住むぞ都!」出版記念パーティー

取材で訪れた場所のお土産などがずらり。本と空間とをつなぐ、とても気の利いた演出。宮崎マンゴー美味しかったなぁ。あと後ろの方、面白かったなぁ。

「住むぞ都!」出版記念パーティー

飲み物も。「吉平のひやしあめ」を炭酸で割っていただきました。しみじみ美味。今見ると気になる「熊本のほうじ茶」。飲めば良かった(大後悔)。

「住むぞ都!」出版記念パーティー

日本酒や梅酒も。もちろんいただきました(役割を終えてから)。真ん中の「あきとら 夏純吟」。美味美味。

「住むぞ都!」出版記念パーティー

トークショーの雰囲気。トークショーは1回目が僕で、2回目がこちらの岡田さん(愛媛県の内子町にお住まい)。今回、本と直接関わりのない僕がどうしてお話しさせてもらう流れになったかと言うと、「地方に移住しても仕事はどうなの?やっていけるの?」という疑問に対してのアンサー役として。「こうすればやっていけます。」なんて処方箋はもちろんありませんが、結果論として仕事を続けられている要素をいくつかお話しさせていただきました。独立当初の意気込みを数年ぶりに口に出したり、自分でも新鮮でした。

「住むぞ都!」出版記念パーティー

お客さんの様子。みなさん聞いて下さったみたいでありがたかった。でも、あんまりご期待に応えられなかったかな〜と思って反省してたら、褒めて下さる方も中にはいてくださってホッと一安心。芸人がよく言う「お客さんが温かかった」の意味を身にしみて感じました。

「住むぞ都!」出版記念パーティー

トークショー以外の時間ではサイン会も。

「住むぞ都!」出版記念パーティー

ひたすらサイン(というかイラスト)を描く鈴木さん。サイン会で終わってしまうんじゃないかと心配になるくらい、ひっきりなしに描き続けていました。

「住むぞ都!」出版記念パーティー

なんて低姿勢なイラストレーター(笑)お疲れさまでした。そして貴重な機会をありがとうございました。ホント貴重でした。何人かの方とお知り合いにもなれて、それも嬉しい。

↓ 住むぞ都!

Date: 12/07/25 

「住むぞ都!」出版記念パーティー

住むぞ都

初めてのトークショーも無事に終わりました。レポートは次回書きます。とにかく聞いて下さる方があったかくて本当に良かったです。あー楽しかった!

↓ 住むぞ都!

Date: 12/07/23 

手書き+活版印刷

名刺

友達から名刺を頼まれて提案した「手書き文字+活版印刷」。書家ではありませんが、自分の文字を「人と人とを繋ぐもの」として活用している彼女にぴったりのアイディア。それに活版の質感を加えて「おとな感」を演出。ずっと温めていたわけではないものの、依頼されるやいなや頭で考えるより先に出た提案。最近はこんな感じで進む仕事が多い。Don’t think.Feel!みたいな。

それだけでは今ひとつ物足りず、彼女の「人の懐へグイグイ入ってくる」勢いのような印象がすっぽり欠け落ちている。悪い意味で大人っぽい。何かもうひとクセ欲しい。そこでピーンと来たのが「わたくし」と「申します」。本来なら口から発するべきことばを、名刺に書きました。名前の前後に付け足しちゃいました。

見方によっては大いに悪ふざけ。でも言葉遣いは丁寧だし「まぁいいか」と。このアイディアは僕には不向きだけど、彼女には妙にしっくりくる。実際、彼女をよく知る人たちからの反応はとても良かった。人生振り切ってる人だから、名刺も振り切っていきまっしょいってことで。それにもし名刺がきっかけでトラブルが起こっても、それすら前向きに変えていける力がある(ような気がする)。

ただ、ここまで割り切ったデザインができるのも、普段からコミュニケーションを取っているおかげ。例えば新規にご依頼をいただいても、短期間でその域まで達することはまず無理です。ごく希に一瞬で意気投合できることもありますが、やっぱり日々のコミュニケーションの積み重ねが大切。末永いお付き合いを望みます。

Date: 12/07/21 

住むぞ都!

住むぞ都!|鈴木さちこ

このブログの題字でもおなじみ、すずきの姉さんの新著「住むぞ都!」絶賛発売中です。神社本、電車本の次はなんと「移住本」。東日本大震災の影響などで、移住を考えているけれどなかなか行動に移せない方々。そんな方達のために、すずきさん自身が実験台(?)となって日本の各地に“住んでみた”、リアルな情報がぎゅっと詰まったコミックエッセイ。

世の中のニーズに乗った単なる企画モノ?と思いきや、そんな薄っぺらい内容ではありません。いつものように、シンプルなイラストからは想像できない厚みのある情報。観光と暮らすことの違いを明確に分け、それぞれの土地に「しばらくの間」滞在しています。また、食生活では観光のように外食だけで済まさず、実際にその土地のスーパーで食材を調達し自ら料理するなど、できるかぎり生活者の視点に近づいてもいます。もちろん実際に住むことを想定しているので、不動産屋巡りだって外していません。

東北のまとめでも触れましたが、やっぱり観光と「暮らす」は違います。この本では観光の「浮かれ感」もしっかり伝えながら、「暮らす」ために必要な実質本意の情報にも触れてあり、すごくバランスがいいなぁと思いました。どっちの目線でも読めます。いつもそうだけど、読みやすい。

それによく考えたら、これって旅が好きな人なら誰でも持つ願望。

ひととおり観光地を回り終わったら、次は「その土地のことをもっと知りたい!住んでみたい!」って。でも、貴重な長期のお休みを、エンターテイメント性の少ない土地で過ごす選択肢を取る人は残念ながら少ない。でも、そうしたい願望は心の底に持っている。そんな「できたらいいな」の思いを、僕たちに代わって実現してくれています。だから、面白い。すずきの姉さんの本の中で、僕は断トツに好きです。

冒頭では移住の方を対象に〜なんて書きましたが、それは半分正解で半分間違い。純粋に旅が好きな方にとってもこの本はきっと楽しめます。訪れている場所は以下の7カ所。

  • ①高知県高知市
  • ②熊本県熊本市
  • ③岡山県倉敷市
  • ④愛媛県内子町
  • ⑤長野県上田市
  • ⑥宮崎県日向市
  • ⑦北海道札幌市

ちなみに滋賀県も掲載したかったそうですが、締め切りの都合で実現せずだそうです(残念)。その代わりと言っては何ですが、お呼ばれしている出版記念パーティーでトークショーの時間をいただいたので、滋賀県について少し語ってこようと思います。姉さん自身のブログで少し中身が見られますよ。

Date: 12/07/20 

たむら歯科クリニック

たむら歯科クリニック|Webサイト

今月2日に開院された「たむら歯科クリニック」さまのWebサイトを担当させていただきました。場所は滋賀県守山の駅前。設計を担当した知人から紹介してもらったのがきっかけ。不思議と歯医者さんとは縁があります。かれこれ4件目。

ページ数が少ないと淡泊な印象にもなりかねないので、ページごとの情報を増やすことでその問題を解決。院長の人柄やクリニックの考え方を分かりやすく噛み砕きつつ、ビルの入り口や駐車場、駐輪場など、アクセス関連の情報には特に注意を払っています。

最近はアクセスマップをGoogleマップで済ますページも多く見かけますが、ほとんどの場合それでは不親切。徒歩、自転車、車など、想定される来院のケースに応じて情報をまとめています。「案内に手を抜かない」ことからも院長の人柄が伝われば、という淡い期待と狙い。ちなみに情報を細かく刻む考え方は、爽快潔リビングさまの「FOUR SEASONS EX」ページを作った時に学んだこと。

また、院長の人柄を伝えるため、あえて「隙」を作るアイディアも取り入れています。初めてお会いした時、口数こそ少ないものの、発する一言一言に強い意志を感じました。それに加えて、包み込むような優しさと誠実さも。

この印象をどうにかサイト上でも伝えたいと思ってカタチにしたのが、撮影のオフショットを載せた「ちょっとだけメイキング」や、任意に考えた質問に答えていただく「10の質問」。この2つの「どこかホッとする」空気感に、丁寧に掘り下げた情報、それをぬくもりや優しさを感じられるビジュアルでくるんで出来上がり。

今回はモデルとしても出演しています。別の用事で伺った時にカメラマンに捕まってしまい、気がつけば診療台に座っていました。そんなわけで写真は僕が撮影したものとそうでないものが混じっています。分かる方には、分かるかも。

Date: 12/07/19 

群れて強いとするその構図

ホタル

僕の暮らす滋賀県で取り上げられている「いじめ」についての情報を見るたび思い出すのは、僕も小学校の頃いじめられていた時期があったこと。朝礼で校長先生が直々に言及して下さったことさえあります(その日は雨で、確か教室のテレビでそれを他人事のように聞いていました)。

僕の場合は、大して強くもない人間同士が集まって「強い」となる謎の構図に腹が立っていて、逃げたいという気持ちはありませんでした。むしろその「多勢に無勢な状況」を、どうしたら無勢じゃなくなるかな、とか、その方向性でばかり考えていました。授業中にいきなり襲いかかるとか、夜中に自宅に乗り込むとか。まぁ、ロクな事考えませんね。それもそのはず、ロクな状況でなかったので。それは仕方ないんです(実行はしていません)。

結局、最後にぼくを救ってくれたのは「笑い」。一度でも「こいつおもしれーじゃん」となると、今までの状況が嘘のように一変します。今でも芸人が大好きなのは、根っこにこんな歴史があったからかも知れません。

なので僕は「いじめは良くない」という感覚はそれほどなく、「群れて強いとするその構図」が嫌いです。

Date: 12/07/18 

あまたんど

ホタル

久しぶりに普段通りのAMATA BLOG、じゃなかったamataando.jp。今日も誰かの悪口と下ネタ全開の内容でお届けします(ウソです)。でも普段のトーンを忘れたのは本当。

「amataando.jp」って口に出しづらいから、そろそろこのブログにも名前が欲しい。一度だけ「あまたんど」って略されたのが妙に焼き付いています。原型こそ崩れてなんのこっちゃ分からないのに、後を引くような強さがある。「あまたんど!どや!文句あっか!」みたいな。あまたんど。たんどって、何だ。

東北のレポート書いている間にもいろいろ出来事はあって、まずはホタル。SWEETTYPEの中村さん(にーやん)が近所にある穴場を教えてくれて、二人で撮影会。穴場の名に恥じない見応え。とりあえず鑑賞→感動の安藤ホタルを堪能。自分が暮らす土地の豊かさを知る。「ホタルに好かれる土地」って、すごくすごくいい。逆に人間しか暮らせない場所って何なんだろうって思う。

生で見る光景があまりに美しいから、ずっと二人で「写真では伝わりませんなー」言い続けながら撮りました。肉眼に勝るものなし。ホタルは必ず現地で見て下さい。

Date: 12/07/14 

東北(28)〜まとめ 03〜

石巻

帰ってきてからというもの、ニュースの理解度が上がりました。今まで「ちゃんと知らなきゃ」という受け身の姿勢で聞いていたのが、「知ろう」という能動的な姿勢に変わったから。意識が変わると無理なく頭に入ります。それに、行ったことがある場所のニュースは、自然と耳を傾けます。

日常生活ではそれが一番の財産かも知れません。意識が変わること=スイッチが入ること。一度スイッチさえ入れてしまえば、そうそう変わることもありません。

現地に行く行かないは別にして、「忘れないこと」だけは強く言い続けたい。無関心になってしまうのは、本当に良くない。何を偉そうにと思われるかも知れませんが、それだけは言いたい。忘れてはいけない。何が正解かなんて誰も分からないことだけど、だからこそ「何が出来るか」考えて、できれば何かしら行動に移せるといい。その時その時で出来ることって変わってきますし。

最後に、かかったお金についても少し触れておきます。今回の旅(2泊3日)で使ったお金は、必要最低限の費用で約35,000円。内訳は行き帰りのバス代、ホテル代、現地での交通費(レンタカーと電車)。食費は個人差があるので含んでいません。ホテル代やレンタカーは、一人以上で行けば一人あたりの値段はもっと安くなります。夜行バスでほとんど眠れなかった苦い記憶以外は、無理のない費用だと感じました。

  • 夜行バス(京都〜仙台)・・・7,000円
  • ホテル・・・4,000円(素泊まり)×2泊
  • 夜行バス(仙台〜京都)・・・6,000円
  • レンタカー・・・4,000円×2日
  • ガソリン代・・・4,000円
  • 3日目の電車代・・・1,500円

これですべてのレポートを終わります。あらためて、読んでいただきありがとうございました。ここからまたコミュニケーションに繋がればと思いますので、感想・ご意見などいただけると嬉しいです。書きそびれたことがあれば思い出したように書きますが、明日からは従来のブログに戻ります・・・戻れるのかな。

Date: 12/07/14 

東北(27)〜まとめ 02〜

宮城県登米市

現実を見れば見るほど「で、僕に出来ることって何だろう?」と悩んでばかりでした。その答えを探しながら過ごしていたわけでもありませんが、やっぱり探してしまうのが同じ日本人としての性であり、本能です。今思えば現地に行こうと思ったのも、あれこれもっともらしい理由をつけず「日本人だから」の一言で良かったかもしれません。

こうして伝えることは、回り回って何かに影響するかも知れませんし、そうなればいいなという想いや期待は少なからずあります。でも、できれば変化球ではない、もっと真っ直ぐな何かが欲しい。自分の中で確かに納得できる何かが。

そのヒントになったのが、3日目に行った石巻で声をかけて下さった2人の方。仮設住宅で暮らす方と、石巻から30分の所で暮らす、僕に読みかけの本をくださった方。土地柄のせいかお二人とも人なつっこく、そのせいなのか現況のせいなのかは分かりませんが、とにかく話し相手を欲していたように感じました。僕は現地に対して何かしたいと思うし、もっと話を聞きたいとも思っています。向こうは向こうで、話し相手が欲しい(たぶん)。

それなら二人にまた会いに行く行動は「出来ることのひとつ」だと自然に結びつきました。「出来ること」なんて堅苦しいものでなく、面白かったから単純にまた会いたい気持ち。当時は仮設住宅に訪れる事は失礼だという気持ちでしたが、いい意味で事情は変わりました。

幸い、一人の方とは連絡先を交換していて、「次来る時は10日前に連絡して!」と言われています。このご縁を無駄にせず次回に繋げていけば、ボランティアともまた違う、自分なりの協力ができるような気がします。それに、被災地すべてを見て回ることはできません。同じ場所へ繰り返し足を運ぶ方が、きっと復興状況を感じやすい。だから石巻を自分にとっての出発点とし、少しずつ根を生やしていけば、そこからまた何かが生まれそうで楽しみです。

すべては全くの偶然ですが、行動しなければ何も得ることは出来ませんでした。その価値は、本当に大きいです(続きます)。

Date: 12/07/12 

東北(26)〜まとめ 01〜

仙台駅周辺

東北(といっても主に宮城ですが)に行ってまず感じたのは、「いいところだなぁ」ということ。

拠点にした仙台の街は栄えているし、少し離れたら豊かな自然にも出会える。古き良き日本もある。風景もいい。お水も美味しい、お米も美味しいとなれば、もれなくお酒も美味しい。もちろん魚も美味しいし、野菜だって美味しい。郷土料理やお土産もたっぷり。人柄もいい。温泉も多い(入れなかったけど)。あと牛タンも。

今まで日本のいろんな所に行ったけど、正直なところ東北はあまりピンときていなくて、今回のきっかけがなかったら、果たしてこの先も行っていたかどうか怪しい。先入観を変えることができて本当に良かった。蓋を開けてみて良かった。

ここに住みたいかどうか。

これは最近の旅で考えていることだけど、たとえいい観光地であっても、住めるかどうかは全く別の話。東北は自然に「住みたい!」と思いました。さっき書いた理由はもちろんのこと、感覚的にもかなりしっくりきたので。そんな土地だから、愛着が湧くのに時間はかかりませんでした。滞在中には「AMATA移転したらどうなるかな〜」なんて妄想もしました。

だからこそ、そんな愛すべき土地が被害に遭っている事実が、とても悲しくなりました。それだけでなく、いわゆる「風評被害」と呼ばれるものによって「とりあえず近づかない方がいいところ」になっていることも、とても残念でした。

とはいえ、現地ではほとんどの人がマスクをしていない中、滞在中の7割以上、僕はマスクを着用していました。果たしてマスクがどれほどの効果があるのかは知りません。でも、目に見えない恐怖はありました。それは行く前から確かにありました。

分からないから、怖い。

でも、たった数日の滞在でどうこう騒ぐことじゃないし、そんなに自分が過保護になる事情も理由も僕にはありません。このまま頭の中で自問自答を繰り返す日々を送るくらいなら、情報の詰まっている現地に行く方がよっぽど健康的だし、何より「前に進む」ことができます。勇気ある人たちに少しだけでも近づくことができます。デザインの仕事も同じで、答えのほぼ全ては現場で見つかります。それだけは分かっていたから。

それに、たとえそれがリスクだとしても、得られたものの方が遙かに多かった。何十、何百倍なんてものじゃない、もっともっと、それ以上のもの。本当に、計り知れない。

このまとめは数回に及びますが、僕が望むことは、現地に行った人も言っていない人も、問題をフラットに捉え、フラットに発言できる空気になること。

僕自身「現地に行くまでは、東日本大震災について決して軽はずみに語るまい」という意識を持ち続けていましたが、現地に行ける人もいれば、そう出来ない人や、行こうとは思わない人もいます。いろんな心境や事情、思いがあります。そこに優劣を持ち出すのではなくて、情報を得た人はそれをなるべく共有して、少しでも「フラットな」状態に近づけられればいいなと思っています。

そのための取り組みとして、ダイジェストではなく24回に分けて本編を余すことなくレポートし、点でも線でもなく、面として、ひとつの「かたまり」として記憶を疑似体験して欲しかった。現地に行くのが一番いい方法なのは間違いありませんが、それを言っても始まらないので、別のアプローチを考えた結果、この思いに至りました(続きます)。

Date: 12/07/11 

東北(25)〜まとめ 00〜

石巻駅

24回にも及ぶ本編のレポートが終わりました。すべて読んで下さった方、少しだけ読んで下さった方、本当にありがとうございます。自分の頭の中を整理するのにも役立ちましたが、やっぱり読んで下さる方がいるのは嬉しいです。この時ばかりはfacebookの「いいね!」が特に励みになりました。気持ちを共有してもらえたというか。

正直なところ、予想を遙かに超えるエネルギーが要りました。

当時の記憶を呼び起こしながら、なるべく細かいところまで詳細に伝えたい気持ちとはうらはらに、日に日に薄らいでいく当時の熱量や記憶。毎日書く前に、あの日あの時あの場所へタイムスリップしなければなりませんでした。デリケートな問題だけに、なるべく味付けもしたくなかったので、言葉選びにもいつも以上に時間がかかりました。観光部分以外は、まるで他人のレポートを見ているような着地点を目指しました。

次回からまた6月3〜5日に遡り、「帰ってきて、感じたこと。」を綴りたいと思います。まとめです。連載中にもいろんな人とお話したり、心境の変化や再整理できたこともあり、一番じっくり丁寧に書きたいところでもあるので、今回は申し訳ない気持ちもありながら、一息つかせていただきました。明日は定休日なのでちょうどいいタイミングかも知れません。

走り終えて少し気が抜けてしまいました。フー

Date: 12/07/10 

東北(24)〜石巻 10〜

石巻

お2人に別れと再会の約束を告げて、今度こそ石巻の駅へ。最後にまた少しだけ街のスナップを紹介します。

石巻

石ノ森漫画館も提携しているコインパーキング。だからここにもイラスト。このしつこいくらいの露出には終始圧巻。気持ちよく洗脳される感じ。「気持ちいいかどうか」はとっても大切な要素。気付いたら、じゃなくて、分かっていて受け入れるというか。

石巻

ロボコンも。オブジェひとつとっても、いちいちクオリティが高いのが好印象。

水島新司まんがストリート

新潟のそれと比べると一目瞭然。ディティールへのこだわりがまったく違う。予算の違いなのかなぁ。とにかく色が付いてる方が断然好み。

石巻

石巻の女子高生。時間があれば話したかったんだけどなー。ただ、この大人数を相手に話しかけられる勇気なんて持ち合わせているはずもなく。がんばれ自分。

石巻

残り時間わずかで駆け込むように立ち寄った、石巻立町復興ふれあい商店街。詳しくはこちらのページにて。

石巻

石巻

石巻

いいですね、この感じ。旅の写真はひとまずこれで終わります(でも、続きます)。

Date: 12/07/07 

東北(23)〜石巻 09〜

石巻

おじさんと喋っていると、さらにまた別の方が声をかけて下さいました。それがこの方。またしてもぶら下げていたカメラが一役買ってくれました。このカメラは一体どれだけ仕事すれば気が済(以下略)。

新おじさん:「おお〜、いいカメラ持ってんなぁ、何それ?」

僕:「何って、一眼レフカメラですよ?」

新おじさん:「そういうことじゃ無くて、なんていうやつ?」

僕:「あぁ、ニコンのD300です。」

新おじさん:「おお〜!高っかいやつやないか〜!」

僕:「そうなんですよ〜!頑張って買ったんですよ〜!」

こんなやりとりを終えた後、

新おじさん:「せっかく来てくれたし、何かあげるものないかな〜」

と、鞄の中を物色し始め、

新おじさん:「兄ちゃん、本読むか?」

僕:「はい、好きです。」

石巻

ということでこの2つをプレゼントして下さいました。赤川次郎の「決闘」、それに太陽生命保険の粗品。本は確実に読みかけでした。

急におもてなしを受けたものだから、何だか面食らってしまって。その後は、最初に声をかけて下さったおじさんと3人で道ばたに座ってさらに弾むトーク。

この方は、この辺りからは車で2〜30分離れたところで暮らしているらしく、詳しい素性は分からないものの、被災されたのは間違いない。そして人なつっこい。

新おじさん:「何で来たん?車か?いつまでおるん?」

新おじさん:「ヒマやったらこの辺り案内したるで、2日間にかけて。」

僕:「2デイズ!?ながっ!」

終始こんな感じ。そういえば最初の方も「何(の交通手段)で来た?」「いつまでおるの?」は聞いて下さった。そのテンションたるや、「隙あらば今夜は帰さないぞ!」と言わんばかり。あくまで推測の域ですが、やっぱりコミュニケーションに対する欲求が強い状況なのかなと思いました。確かに、あんまり人気(ひとけ)も無かったし。この日に限って電車で、そして最終日だったのが本当に悔やまれる。

和気あいあいとしたムードの中でも、おじさん同士「そっちは今どう?」と被害状況を確認し合ったり、石巻よりも被害が甚だしいところなどを教えて下さいました。それでも、明るいテンションで。こんな隙だらけの空気の中で言われた「希望と絶望の繰り返しや、毎日が。」の言葉は、今でも焼き付いて離れません。

山の神まんじゅうのエピソードが記憶に新しい小牛田でも、僕は逆に元気をもらった。そしてここ石巻でも、やっぱり元気をもらいました。今思い出しても変な感じなんだけど、3人で喋っている時間は、まるで親友と飲んでいるかのようなくつろいだ気分と、まだまだしゃべり続けたい気持ちでいっぱいでした。

この時、やっと見出したひとつの答え(続きます)。

Date: 12/07/06 

東北(22)〜石巻 08〜

石巻

帰りの電車の時間も迫り、来た道を駅に向かって歩いていた途中の出来事。

後ろから「写真撮ってきたんか〜?」と声をかけられました。それがこの方。またしてもぶら下げていたカメラが一役買ってくれました。このカメラは一体どれだけ仕事すれば気が済むのか。コンパクトカメラではそうはいかなかったはず。

聞けばこの方も、山へ行って写真を撮ってきたとのこと。バッグから一眼レフを取り出し、その日の収穫を僕に見せてくださいました。美しい緑の景色と、他にはなんと野生のリスやサルが写っていました。羨ましい。

「家に一人でおっても、ロクなこと考えんでのう」

会話の中から仮設住宅で暮らしている事を知り、ズシンと胸に響いたこの一言。ロクな事って、なんだろう。それ以上詮索はしませんでしたが、一眼レフカメラを持っているし、果たして今どんな暮らしをされているのか、正直なところ興味はありました。でも、この時はとにかく「話を聞こう」と心に決めて、楽しそうに写真の話をするのをただただ聞いていました(もちろん絶妙な相づちを打ちながら)。本当に楽しそうに話して下さいました。僕も楽しかった。

石巻

少し前に触れた、橋の上に住宅(一軒家)が丸ごと乗っかっていたエピソードを教えていただいたのは、この方。冗談でも何でもなく、当時はこの橋を渡るのに、乗っかった家の玄関を通り抜けないといけなかったそうです。一体どんな心境だったことか。想像に難い。

僕のような第三者から見ると、復興はまだまだと感じますが、被災当時と比べたら交通は機能しているし、ありがたいとも仰っていました。たった15分程度ですが、とても有意義なひととき(続きます)。

Date: 12/07/05 

東北(21)〜石巻 07〜

石巻

東北電力より震災復旧に伴う電柱設置のお願いとお知らせ

石巻

復旧作業をされていました。残念ながら作業中につき、声もかけられず。残念ながら。

石巻

生々しい傷。

石巻

唐突に現れたレンタサイクルのお店。でもこんなところに、どうして?

石巻

お店の名前は「その子どもサイクルぅ」。当時は何の事やらでしたが、調べてみるとこういうことでした。ここは「東助」という焼き鳥屋さんだったようです。

石巻

「みなと荘復活」の看板。正式には「石巻市総合福祉会館みなと荘」。良かった。人が集まる場になっているのかな(その割に、あまり人はいませんでしたが)。

石巻

歩道橋から望む湊小学校。1F部分はすべてベニヤで補修されています。

石巻

歩道橋から見下ろす国道398号線。道を挟んで左側は、右側と比べて被害が少ない。

石巻

道を挟んで左側の風景。おそらく人は住んでいます。でも、ところどころ被害はハッキリ残っています。

石巻

さっきまで登っていた歩道橋の中途半端なところに、青いサインを発見。

石巻

「東日本大震災 津波浸水深ここまで」。驚いて何も言えない。さっきまで上っていた高さと大差ありません。

石巻

だって、この高さ。まさにその現場にいるのに、被害の一部を目の当たりにしているのに、全く想像できませんでした(続きます)

Date: 12/07/04 

東北(20)〜石巻 06〜

石巻

この辺りは重機の姿もちらほら。

石巻

復旧作業で、重機に乗っていない人をちゃんと見たのは、そういえばこの日が初めてかも知れない。嬉しい。

石巻

ここにも重機が。

石巻

もちろん、手が付けられていないところもまだまだ多い。

石巻

立派な工場。だけど、かなりの被害を受けていました。

石巻

これまた珍しく、釣り人を発見。この近くの仮設住宅に住んでいる方かな。

石巻

遠くからずっと目立っていた、津波で打ち上げられたと思われる船。確か、動かすのにもたくさんのお金がいるんでしたよね。

石巻

静岡県下田市の「喜美丸」。静岡に戻る船だったということ?新聞やニュースでよく見た光景だけど、実際に生で見ると、それとはまた違った印象を受けました(続きます)。

Date: 12/07/02