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4日間の東京出張。中川政七商店が主催の合同展示会『大日本市』に参加。お取引先さまのブースに立ち、バイヤーさん相手に自分ひとりで商談する、という貴重な体験をさせてもらいに。『掛け率』『お取引条件』『最小ロット』などなど使い慣れないフレーズをさも使い慣れているようにふるまう。
自分がデザインを担当した商品に『売る』という視点でリアルな反応を得られる機会は滅多にない。狙いどおり伝わっているところ、そうでないところ、伝え切れていないところ。そういった改善のヒントも得られるし、お取引先さまが求めているデザインのポイントも分かる。生の意見が飛び交う場にはヒントも飛び交っている。
40数ブランドの出展者の方々とコミュニケーションする機会もまた格別。当たり前だけど、期間中は本業が一切できない。お金と時間の両方のコストをかけて臨まれている。つまり真剣ってこと。ある方は『勉強の時間だと思っています』と割り切っていた。安泰なブランドはひとつもない。不安になるとつい目先の利益に走りがちになるけど、グッとこらえて未来を見据えているように感じた。いちばん好感が持てたのは、謙虚な方ばかりだったこと。プライドの使い方を心得ている。やっぱり現場はいい。
東京滞在中に友人夫婦が連れて行ってくれた馬喰町のイタリアン、とても素敵だった。また食べに行きたい。時間は有限、だからこそ貴重。他人の時間を弄ぶようなことが周りでよく起こる。もちろん自分にも思い当たるフシはある。目に見えるものを奪われるより、目に見えない時間を奪われる方が罪が重いこともあるし、自戒を込めて他人の時間にまず敬意を払いたい。
Date: 19/02/21 Photo: iPhone 5
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青写真の語源にもなったサイアノタイプという古典技法を使った写真のワークショップ。池田にある道具店、卉奏(きそう)さんにて。好きな素材を持参して自分だけの写真をつくる、というもの。
自分のための創作は滅多にないもので、とても新鮮な体験。新鮮でありながら、実は同時に苦しくもある。感覚だけでつくれないほどにはデザイン思考がアタマを支配していて、考えないでいることができない。そんな体質が浮き彫りになってしまうから。
この仕事をしている以上は逃れられないのも分かってるけれど、少しさみしさもある。考えに考え抜いた先にある『諦め』まで辿り着けたら、その時に感覚がチラッと顔を出す。いいものができるのは決まってそんな時。
暗めの会場につき写真ブレがち。この頃はブレようがブレまいがどうでも良くなってる。受け手の貴方がちゃんとアタマで補正してくれるから。
これもひとつの諦め。
Date: 19/02/08 Photo: SIGMA dp3 Quattro
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渋谷ヒカリエで行われたD&DEPARTMENTのクラウドファウンディング懇親会に参加した。もう一週間以上も前のこと。
今の時代、自分が好きな場所やモノが存続していくには、積極的な関わりが必要不可欠だったりする。Dさんは自分にとってそんな存在のひとつで、支援を決めてイベントにも参加することにした。ただ遠くから眺めているだけで失うものは、これからもっと増える。政治も同じ。闇雲に叫んだところで、腰の引けた状態で挑んだところで、何も良くならないことはもう誰もが気付いていること。お金と時間をかけてでも、カラダを慣らしておきたい。少しでも世の中を良くしたい。
アウェイかと思っていたところにsaredoの萱澤夫婦が声をかけて下さってホッとした(とても嬉しかったです)。はるばる東京まで来て傍観者でいるのもつまらないし、質問タイムでナガオカさんに聞きたかったことを聞いた。そのとき滋賀から来たことを伝えていたら、あとでいろんな方が声をかけて下さった。自分が動いた分だけ、いい流れが生まれる。億劫に慣れてしまわないこと。
どんな状況でもベストは尽くせる。何が起こっても、その時その時のベストをいち早く見極めては実践するだけ。それ以外に何がある。その日その日で自分なりのベストを尽くせたら、蕾はちゃんと開く。今そういう感覚が自分にある。でも、もう少しだけ時間がかかりそう。
立春とともに少し寒さが和らいだ。旧暦ではきのうが正月なんだそうで。詳しいことはよく分かりませんが、あけましておめでとうございます。
Date: 19/02/06 Photo: iPhone 5