2178
真剣に困っている人のチカラになりたい。二十歳を過ぎた頃から想い続けた気持ちに、意志や技術も近づけているような気がする、ようやっと。
前を向いている人が好きだ。時には休んだり、くじけたり、うまくいかなかったり、後ろを向くことは誰にでもあることで、ただ、普段どこを向いてるかだけは本当に大切だなあと思う。そんな人たちと「毎日しんどいよねえ」なんて飲むお酒はとても楽しい。幸い、そんなお酒を交わせる人に恵まれている。
つくりものの笑顔じゃなくて、苦労を乗り越えた先にある笑顔に触れたい。そういう機会をなるべく増やしたいし、逆に言えばそれ以外の機会を減らしたい。ちゃんと言葉にすること、向かっていくこと。前を向いている人って、その両方をちゃんと大事にしてくれる。
そんなことを感じてるうちに、明日からもう4月。早いね、とは思わない。本当は早くも遅くもないから。やるべきことを、やりたいことをやるだけ。鼻グズーン。
Date: 18/03/31 Photo: SIGMA sd Quattro + SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Art
2177
青春18きっぷで、ぶらり。
目的地を決めず、3割ほど読み進めた小説を相棒に。気が向いたのは、純白の城。最寄り駅で御座候を赤と白と、ひとつずつ。名に恥じない歴史とスケール感、そして美しさがあった世界文化遺産。花見を楽しむ人もいた。
70歳近くに見える、だけれども姿勢のいい職人が手打ちするうどん屋にふらりと立ち寄って、年季の入った絶妙な感触のうどんが気持ちよく染みこんだ。いかにも家族経営らしい、緊張感とゆるさが混じり合った空気が優しかった。
コーヒースタンドを探して、カフェラテと焼き菓子をいくつか。友人のカフェで時々バリスタまがいのことをしていて、余所のお店が気になる。カラダに合わないと知りつつ、時々コーヒーが飲みたくなる。この日は気分を優先する。
海が見たくて、日生(ひなせ)に向かう。読みかけの本はひたすら面白い。駅の近くにある展望台に上った。静けさで賑わっていた。日常から離れることは、視覚よりむしろ聴覚が大事なんじゃないかと思う。にじんだ汗が引くまでベンチに寝そべって、無意識にアタマに浮かんだいくつかのことと話す。夜に三ノ宮で人に会う予定があって、カキオコは断念する。酒屋でビールだけ買ってすぐ飲んだ。
Date: 18/03/29 Photo: iPhone 5
2176
部屋と納戸にある不要なものを整理しようと一年間ずうっと取り組み続けて、やり終えたらさぞかし爽快だろうという期待があった。いざ終わってみたら、思っていた以上の達成感と一緒に、今度は倉庫の中が気になり始めた。
キリがない。
倉庫が片付いたら、次は何が気になり始めるんだろう。そこに興味もあったけど、今は手を付けないことにした。とにもかくにも、まず目の前のことにケリをつけたからこそ浮き彫りになった悩み。きっと悩みはこうやって、永遠に尽きることがない。
これ、暮らしと直結していると気付いた。「そんなに必要ないものとどれだけ関わって生きるのか」という点で。無駄が良くないとは思わないし、適度な脂肪は安心や癒しをくれる。もちろん数の問題ってワケでもない。数千枚のレコードだって、ぜんぶ必要であればそれはその人にとってのスリム。
クローゼットの中身も、本棚も、冷蔵庫の中も、関わっている人の数も、絵文字の量も、いま書いているこの文章も、贅肉も、思えばどれも同じバランスで成り立っている。少なくとも自分はそうだと思う。悪く言えば「徹底しきれない」、よく言えば「遊びを残している」くらい。
ありがたいことに、自分のバランスだけは、いつでも自分で変えられる。そこが楽しい。
Date: 18/03/23 Photo: SIGMA sd Quattro + SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Art
2175
特定非営利活動法人・縁活(えんかつ)さまのWebサイトを公開しました。
縁活さまの運営するカフェで打ち合わせ中、たまたま居合わせた代表・杉田さんが「ちょうどWebサイトつくろうと思っているところなんですよ〜」ということで出会って30秒足らずで決まったのが一番のエピソード。そんなことあるんだなあ、とは全く思わずに、ごく自然な流れとして受け入れました。世の中は、案外こんな風に回っているものだから。
これからの新しい価値観をつくるパイオニア的な存在を目指して、いわゆる“福祉っぽい”イメージとは一線を画しています。要所に散りばめた背景のイラストは、利用者さんに描いてもらいました。あらためて見ても上手いんだよなあ。たいへん名誉な案件に関わらせていただいて、嬉しい限りです。
Date: 18/03/08 Photo: SIGMA sd Quattro + SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Art
2174
先々月、いきなり仕事場を訪ねて下さった方がいる。
電話番号もメールアドレスも、サイトには載せてない(おまけに色さえもない)。真剣味に欠ける依頼や営業メールが煩わしくて、数年前からそうしてる。不毛な時間をなるべく減らすのも、時間を生み出すために欠かせないデザイン。セオリーにこだわらずに、今に馴染むカタチを追求すればいい。そんなスタンスに共感して下さる方が、わざわざ足を運んで下さった。連絡先がないから、ダメ元で来てみました、と。なんてありがたい。。
一見、非常識なアプローチでも、そこに考えがあれば、伝わる方にはちゃんと伝わる。セオリーも選択肢のひとつに過ぎない。セオリーに期待しすぎるあまり、麻痺していることって、結構あるんじゃないかな。どうしたいかを考えず、闇雲にセオリーに頼るのは、何も考えてないに等しい。頼りないけど、頼らないのが、実は一番の近道だったりする。
きのう、その案件を無事に終えた。
最後は「お願いしてよかったです」とご丁寧に電話まで下さった。“冥利に尽きる”って、きっとこういう時の慣用句。そこまでして下さった方の期待には、なんとしても応えたいと自然に思えて、いい関係性が生まれる。いい関係性ができたら、仕事の半分は終わってる。そんな方々からの案件をすでにいくつかいただいていて、今から楽しみだし、同時に怖くもある。
Date: 18/03/07 Photo: SIGMA dp3 Quattro
2173
東京で暮らす友達夫婦から今年も立春朝搾りが届く。写真を撮ろう撮ろうと思っているうちに、あっという間に一ヶ月が過ぎた。2月は気力の釣り合いを取るのがすごく難しい。春一番も吹いたようで、本来の自分に戻る感覚がある。
先週は久しぶりの東京出張。中学時代の友人と仕事の打ち合わせをして、その後は高校時代のパイセンと食事。まるで40代を歓迎してくれるかのような素敵なバーにも連れて行ってくれた。明らかに人を選ぶバー、でもそういうのがいい。万人受けにはまるで興味がない。誰と行ったら楽しいかな、と想像してみる。ぜひ行ってみて欲しい方にメッセージも送った。
次の日は、すずきの姉さんと羽田空港にて打ち合わせ。姉さんとは独立以来のお付き合い。自分では絶対に行かない、ツボのついた場所をいつも提案してくれる。出張で行く機会がほとんどになった自分にとっての東京は、こうして付き合いのある人が教えてくれる情報でできている。生きてる間にすべて知る事なんてできないし、これでいい。というより申し分ない。ヴィンテージな人脈に支えてもらってる。
帰りに日本橋の「ここ滋賀」に立ち寄って、SHIGA’S BARのカウンターで軽く1杯。となりに座った75歳の女性は、水戸からセミナーを受けに来た帰り。頼みすぎた佃煮をご馳走になる。反対となりに座った男性とも話が盛り上がり「よかったら僕にご馳走してください」と、熱燗を奢ってもらう。出張先でもこんなことするようになる。ハートが強いわけじゃないですよ。ただ相手を信じてる。
Date: 18/03/02 Photo: SIGMA dp3 Quattro