2024

layered

嫌われたくない。

今さっき友達と話してて、その子はとにかく人に嫌われたくなくて、相手に合わせてしまう性分。それ自体ネガティブなのに「嫌われたくない」だけはハッキリ言うもんだから、逆にポジティブな気さえして。自分でも良くないとは知りつつ、変わりたいとは思いつつ、でも、そう簡単に変われるものじゃない。そこには存在意義が根を張っている。

僕は、嫌われたくないとも思わなければ、好かれたいと思ったこともない(人は好きですよ)。そこに行動原理がない。文字にすると大袈裟になるけど、多かれ少なかれ“救いたい”気持ちが昔から強い。それで自分が救われてるんだと最近になって気付く。

自分と相手の、いちばん心地いいスイートスポットを探し当てる感じ。時間をかけることもあれば、はじめの一歩で相手のパーソナルスペースぎりぎりまで踏み込むこともある。本当に人それぞれだから、慎重に見極めつつ、それでいて大胆に。なるべくココロは閉じない。動物や子どもが怖がらないかで、開き具合を客観視することもある。大人よりよっぽど純粋だし、緊張させてしまってる時はきっと自分がココロを閉ざしてる。

このあいだ読んだ酒井若菜の著書『酒井若菜と8人の男たち』でユースケ・サンタマリアが語った「どこへでも行けるけど、どこにも帰れない」の言葉が突き刺さった。まさに自分のことだなと思った。自分を含めて、人はおもしろい。

Date: 16/03/31 Photo: SIGMA dp3 Quattro

2023

Aeron HermanMiller

アーロンチェアが壊れた。

買ったのは26歳の頃。若いくせに「一生モノの椅子を買おう」そんな大人びた意気込みで、お金を貯めて。26歳にとっての15万は、100万円以上の値打ち(※個人の感想です)。そのアーロンチェアがついに壊れた。左の肘掛けが、突然ポキッと折れた。使い続けたことで、金属が悲鳴を上げてしまった。

ネットで調べたら、修理に3〜4万かかる。ちょっと悩んだ。一生モノのつもりでいたけど、これを機に買い変えるのもいいかも知れない。ふと、そういえば10年保証があったことを思い出す(でかしたぞ自分)。すでに11年以上経っていて、やるせなくなって凹む(でかしてないぞ自分)。

とにもかくにも修理の問い合わせ。実は12年保証だったことを知る。挫折の先に差し込んだ、ひとすじの希望の光。購入から11年7ヶ月。まさかまさかのギリギリセーフ。めでたく無償で修理してもらえることに(やっぱりでかしたぞ自分)。その上、ついでに他のパーツも新しく交換してくれることに。なんということでしょう。「レザー部分も傷んでますが、どうしますか?」そんなご提案までいただき、さすがにそこは有償だったけれど、すぐにお願いした。

たとえば革靴でも、同じ悩みがある。ソールの張り替え代で新品が買えたりする。でも、今回思ったのは、使い続けることは愛着だけじゃなくて「捨てない」にも貢献してるんだなって。特に椅子なんてデカいもの。捨てるにもたくさんエネルギーを使う。そう考えると、また違う価値が芽生えて、お金の捉え方も変わる。なんというか「えっへん」という気持ちが生まれる。自分がしたくてしているだけのことが、何かの役に立つのはすごく幸せ。

関係を保ち続けることは、無駄を少なくすることかも知れない。何でも無駄が良くないとは思わないし、保ち続けるにもエネルギーはいるけど、どっちがどの範囲で幸せか考えてみるのは、いいことだなーと。

Date: 16/03/30 Photo: SIGMA dp3 Quattro

2022

a jet stream

叶匠壽庵会長・芝田清邦氏が亡くなって今日で丸一年。お会いしたことはないけれど、当時のことはよく覚えてる。

この一年で成長したことがたくさんあります。38歳でまだそんなことあるんだと自分でも驚きだけど、感覚として今まさに成長期。いろんなこと。きのうポロッと「あ、成長期かも」と呟いて、高校時代に使って以来の言葉だと気付いて一人勝手に照れもしたけど、でも成長期まっただ中なんだから仕方ない。ココロの在り方ひとつで、人はいくらでも変われるんだなと感じます。

変わろう、なんて意識はありません。ひとつひとつの小さなことと向き合って、その繰り返しで気付いたらそうなってた、みたいな。考えたら当たり前ですけどね。変わるために変わりたい人なんて、どこにもいないわけで。

Date: 16/03/18 Photo: SIGMA dp3 Quattro

2021

white & blue

今年に入ってからずっとずっと慌ただしくて、楽しいけれどとにかく慌ただしくて、きのうやっと一日ちゃんと休みました。それまでも何もしない日を作ってはいても「次の日のための休息」という感じで、あくまで受け身。

ずっと行きたかった春画展に行く前に、ろうじなで腹ごしらえ。奇跡的に空いていて、蕎麦のランチセットを注文。お酒はガマン。蕎麦は安定して美味しい。ずっと読みかけで読み進めなかった小説の続きをコチにて。クライマックスを残して、散歩がてら移動。細見美術館は30分の入場列。一旦あきらめて、ロームシアター京都のモダンテラスで小説の続き。あとで知ったけど、知り合いの方とすれ違いだったみたい。

1Fの蔦屋書店には友達の雑貨の取り扱いが始まる。どこに並ぶか妄想しながら店内をウロウロ。京都会館は想い出のたくさんある場所。人が集まる場所として生まれ変わったのは本当に嬉しい。この頃の岡崎はおもしろい。お店を出ても春画展の混み具合は変わらず。16時頃から空いてくると聞いたのに。並びたい気分じゃなくて今回は諦める。それも自由。

御池のグランディールでパンを。次の日に食べる用。きっと人気なんだろうな、というお店。

お世話になってる御池の鞄屋で小物をいくつか。その間に鞄を手入れしてもらう。「こういうのがあったら嬉しい」などなど、小一時間ほどおしゃべり。売りたいものと求められるものの違いの話がおもしろい。お客さんの意見を柔軟に取り入れつつ、お店らしさもちゃんと出してる。主観と客観の絶妙なバランス感覚。我の強いお店は休日に向かない。自然と足も向かない。この感覚はとても大切。生き物はあたたかい場所に向かう。あたたかい人でありたい。

チェックしてた本を書店でいくつか。滋賀県は本の品揃えが弱くて、よく京都で本を買う。Amazonはダンボールが増えるから、どうしてもの時だけ。「買う喜び」をみすみす逃すのはもったいない。酒井若菜、水野学、あと伊坂幸太郎と(敬称略)。書店にいるとお手洗いに行きたくなる。

春先のコートも物色。なかなか気に入らずで、また次回のお楽しみ、だったはずが寄り忘れてたお店が一軒あって、そこで出会う。2色のどちらかで迷う。ひとつはトレンド色だそうで、でもトレンドという価値感は僕にはなくて、結局は自分の肌に合う方を選ぶ。試着のあとに値札見てビックリしたけど、見て見ぬフリして買った。やたらと気持ちよかった。

瀬田のhelloに立ち寄る。確定申告をギリギリまで溜め合ったハッシーと感動を分かち合うため。ご家族でよく遊びに来るお客さんのお父さんがいらした。「娘が安藤くんに会いたがってるから写真撮らせて」と、ハッシーと2人でパシャリ。そんな風に思ってもらえて嬉しい。お店にいたみんなとゲームして盛り上がって、最後はお父さんともうすぐ社会人2年目の今ちゃんを送って帰る。寝る前に次の日食べるはずだったパンを食べる(食べてしまう)。

休みました。

Date: 16/03/16 Photo: SIGMA dp3 Quattro

2020

Protection against disasters goods

東日本大震災から5年後の今日は、年に一度の防災グッズ点検日。

懐中電灯は点くか、乾電池は切れていないか、ソーラーチャージャーは正常動作するか、などなど。仕事場に置いているものと車に積んでいるもの、それぞれ。自分を守るため、誰かを守るため。自分を守れなきゃ、誰かは守れない。本気で守りたい人がいるって、素晴らしいことだと思う。どうしようもない自分をシャン!とさせてくれるから。

黙祷のあいだ、現地を訪れた数年前と比べて“じぶんごと”から離れていないか自問する。震災で命をなくした方々にも家族や友達はたくさんいて、今どこかでその人たちとも繋がっているのかも知れない。すでに関わっているのかも知れない。

「自分に言い訳するくらいなら、恥をかこう」を貫けば、何かしようと思わなくても、日常の中でできることはきっとある。できることと言うか、気が付けばできていることが。不思議なもので、意識を変えれば巡ってくる。そうなるようにちゃんとできてる。

ホントに世の中はどこまでも繋がっているんだなあと、この頃。

Date: 16/03/11 Photo: SIGMA dp3 Quattro

2019

仙太郎|ご存じ最中

お好きに召しませご存じ最中。

和菓子屋さん「仙太郎」の、自分で自由にあんこを詰めてつくる最中(もなか)。ここにも「ひと手間」がちゃんとある。美味しくないわけがない。火曜は山科で一日撮影の仕事で、近くにお店を見つけてしまってのこと。また買いに行きたい。

そうそう、中に入ってた栞が、なんとも素晴らしかった。

“私共のつくる和菓子は、感性に訴えるよりも、まず機能を第一義に。経営志向よりも、人づくり、物づくりを上位に置く。“美しい”よりも“美味しい”を大切にする。おいしいとは、体が欲しがる状態のこと。体を養う正しい食べもののみが本当の意味でおいしいと言えるのではないか?そして自分の生まれ育った処の風土が育むものが一番体になじみやすく、体にやさしい、即ちおいしい。むつかしい言葉だが、それを「身土不二」と称す。近くの産物、丹波、近江、大和、但馬・・・せめても国産の原料に拘る。農業の空洞化を阻止する為にも・・・”

自分の考えに近いのも嬉しい。疲れてる時、美味しいものはカラダに響きます。

Date: 16/03/03 Photo: SIGMA dp3 Quattro