東北(13)〜小牛田 02〜

山の神まんじゅう本舗

気分屋が最初に見つけたのが、このお店。「あんこ好きそうな奴は大体友達」である以上、見逃す事なんてできません。

山の神まんじゅう本舗

創業明治33年。うは。今年で112歳になる「山の神まんじゅう本舗」。1900年から続くお店、すごいや。

お店に入る前は、散策中に食べる分だけ買って、すぐに出ようと思っていたのに、「お兄ちゃん、関西の方?」と、お店のお母さんが声をかけて下さいました。

大きな一眼レフカメラをぶら下げながら、小牛田へ来た理由、そして東北へ来た理由など一通り説明し終えると、今度はお母さんの方から当時の話をいろいろ聞かせて下さいました。

ここ小牛田も少なからず被害に遭った事、このお店も被害に遭い、営業再開できるまで一ヶ月以上もかかった事、今まで以上に地元の方に愛されるようになった事。今は生きているだけで幸せだという事。生きている事が希望だという事。

中でも強く心に残っているお話が3つ。

ひとつは震災の前日、卒業式のための紅白まんじゅうの大口注文があったこと。当日準備して待っていたにも関わらず、一向に連絡がない。被害と共にその理由を知り、お渡しする事のできなかったその紅白まんじゅうは、被災してお腹を空かせた方々に配って回られたこと。とても喜んでくれたこと。

ふたつ目は、知り合いの工場が津波で流されてしまった事。たくさんの社員を解雇せざるを得ず、その工場の社長は身を切られる思いでその決断をしなければならなかったこと。そんな社長が、会社の周りでボランティアをしてくれた方々のために、なけなしのお金の中から毎日の昼食代を用意していたこと。

そしていちばん忘れられないのは、お店の従業員のご友人が、最近になって遺体で発見された事。その女性は、まもなく出産を控えていた事。

そんなことを涙ながらに語って下さいました。最初ひとつふたつだけ買おうと思っていた山の神まんじゅうは、もちろん箱買いに変わっていました。挙げ句の果てには僕の住む関西のこと(大飯原発など)まで心配して下さる始末で、反対に僕が元気をいただきました。

今回の旅の目的の一つは「現地の方のお話を聞く」こと。だけど、ボランティアで行ったわけでもない僕にはなかなかその機会に恵まれず、しかも、無神経にこの話題に触れていいものか、滞在中ずっと悩みとして持っていました。だけど、現地を見るだけで終わってしまうのは、それはそれで消化不良な気持ちも残っていて、この偶然は、食い意地が与えてくれたこの偶然の時間は、本当に価値にあるものとなりました。

言い忘れましたが、このお店のまんじゅう、メチャクチャ美味しい!お店で作る自家製のあんこが抜群に!なんだかんだで7〜8個食べました。本当に美味しいものって、写真に残らない確率高いですよね(続きます)。

Date: 12/06/23