東北(23)〜石巻 09〜

石巻

おじさんと喋っていると、さらにまた別の方が声をかけて下さいました。それがこの方。またしてもぶら下げていたカメラが一役買ってくれました。このカメラは一体どれだけ仕事すれば気が済(以下略)。

新おじさん:「おお〜、いいカメラ持ってんなぁ、何それ?」

僕:「何って、一眼レフカメラですよ?」

新おじさん:「そういうことじゃ無くて、なんていうやつ?」

僕:「あぁ、ニコンのD300です。」

新おじさん:「おお〜!高っかいやつやないか〜!」

僕:「そうなんですよ〜!頑張って買ったんですよ〜!」

こんなやりとりを終えた後、

新おじさん:「せっかく来てくれたし、何かあげるものないかな〜」

と、鞄の中を物色し始め、

新おじさん:「兄ちゃん、本読むか?」

僕:「はい、好きです。」

石巻

ということでこの2つをプレゼントして下さいました。赤川次郎の「決闘」、それに太陽生命保険の粗品。本は確実に読みかけでした。

急におもてなしを受けたものだから、何だか面食らってしまって。その後は、最初に声をかけて下さったおじさんと3人で道ばたに座ってさらに弾むトーク。

この方は、この辺りからは車で2〜30分離れたところで暮らしているらしく、詳しい素性は分からないものの、被災されたのは間違いない。そして人なつっこい。

新おじさん:「何で来たん?車か?いつまでおるん?」

新おじさん:「ヒマやったらこの辺り案内したるで、2日間にかけて。」

僕:「2デイズ!?ながっ!」

終始こんな感じ。そういえば最初の方も「何(の交通手段)で来た?」「いつまでおるの?」は聞いて下さった。そのテンションたるや、「隙あらば今夜は帰さないぞ!」と言わんばかり。あくまで推測の域ですが、やっぱりコミュニケーションに対する欲求が強い状況なのかなと思いました。確かに、あんまり人気(ひとけ)も無かったし。この日に限って電車で、そして最終日だったのが本当に悔やまれる。

和気あいあいとしたムードの中でも、おじさん同士「そっちは今どう?」と被害状況を確認し合ったり、石巻よりも被害が甚だしいところなどを教えて下さいました。それでも、明るいテンションで。こんな隙だらけの空気の中で言われた「希望と絶望の繰り返しや、毎日が。」の言葉は、今でも焼き付いて離れません。

山の神まんじゅうのエピソードが記憶に新しい小牛田でも、僕は逆に元気をもらった。そしてここ石巻でも、やっぱり元気をもらいました。今思い出しても変な感じなんだけど、3人で喋っている時間は、まるで親友と飲んでいるかのようなくつろいだ気分と、まだまだしゃべり続けたい気持ちでいっぱいでした。

この時、やっと見出したひとつの答え(続きます)。

Date: 12/07/06