2333|君たちはどう生きるか
コロナ禍にふと「自分の歌が歌いたい」と口走ったことがある。自分でもビックリしたんだけど、口走ってしまったんだから、きっと本心に違いあるまい。
どこかの誰かが作った曲じゃない、ただ自分が自分のためだけに作った歌を。ミュージシャンでもなければカラオケすら好きじゃない自分がそんなことを考えるに至ったのは「自分はこの世界に何か残したいのか」と思い始めたことにある。
別に歌でなくても良かったのかも知れない。絵でもいいし、言葉でも料理でも何でも。とにかくただ「自分のために自分を100%表現することってこの先あるんだろうか」をずっと考え続けるようになった。少し前に映画化もされた大好きなJAZZマンガ「BLUEGIANT」の言葉を借りるなら「内蔵がひっくり返るくらい自分を曝け出す」ような。
この間「君たちはどう生きるか」を観た(※ネタバレはありません)。残念ながら自分好みではなかった。好みではなかったけれど、あの作品に宮崎駿の内臓を見た。
宮崎駿に限らず、誰かのハッキリとした姿勢や考え方には強い共感と反発が生まれやすい。世間の評価を見ても、この作品はハッキリと意見が分かれている様子。実際、自分の(かなり気が合う)友達の中には面白かったという人も少なくない。意見が分かれるのは自然で望むところ。生まれ持った性格なのか職業柄なのか、自分はどちらかと言うと個性を消すことにこだわっているところがあるので、ハッキリ意見が分かれるほど表現できた何かには、強く憧れてしまう。他者から見たら自分にもそんな要素があるのかも知れないけれど、とにかく羨ましかった。
Date: 23/07/27 Photo: SIGMA sd Quattro + SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Art