手書き+活版印刷

名刺

友達から名刺を頼まれて提案した「手書き文字+活版印刷」。書家ではありませんが、自分の文字を「人と人とを繋ぐもの」として活用している彼女にぴったりのアイディア。それに活版の質感を加えて「おとな感」を演出。ずっと温めていたわけではないものの、依頼されるやいなや頭で考えるより先に出た提案。最近はこんな感じで進む仕事が多い。Don’t think.Feel!みたいな。

それだけでは今ひとつ物足りず、彼女の「人の懐へグイグイ入ってくる」勢いのような印象がすっぽり欠け落ちている。悪い意味で大人っぽい。何かもうひとクセ欲しい。そこでピーンと来たのが「わたくし」と「申します」。本来なら口から発するべきことばを、名刺に書きました。名前の前後に付け足しちゃいました。

見方によっては大いに悪ふざけ。でも言葉遣いは丁寧だし「まぁいいか」と。このアイディアは僕には不向きだけど、彼女には妙にしっくりくる。実際、彼女をよく知る人たちからの反応はとても良かった。人生振り切ってる人だから、名刺も振り切っていきまっしょいってことで。それにもし名刺がきっかけでトラブルが起こっても、それすら前向きに変えていける力がある(ような気がする)。

ただ、ここまで割り切ったデザインができるのも、普段からコミュニケーションを取っているおかげ。例えば新規にご依頼をいただいても、短期間でその域まで達することはまず無理です。ごく希に一瞬で意気投合できることもありますが、やっぱり日々のコミュニケーションの積み重ねが大切。末永いお付き合いを望みます。

Date: 12/07/21