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メガネを買う。同じものを2つ、JINSにて。

店員さんに「どんな風にお使いになりますか?」と訊かれて「何かあった時のためです」と返す。つまり、災害時のメガネ。普段は1DAYタイプの使い捨てコンタクトなので、大きな災害が起こった時、僕は高い確率で翌日には視力のほとんどを失う。明るい日中はまだしも、灯りのない夜を想像すると、見えないことは本当に怖い。守りたい人を守れないばかりか、いろんな人に迷惑をかけることもある。

その事実に気付いてはいたけれど、そこまで必要かは疑問だったし、アタマのどこかで「そんな日は来ない」と思っているし、合わせて1万円強とはいえ無駄な出費になるかも知れないしで、結局3年かかった。きっかけはこの間の鳥取地震。買うと決めても、億劫さは拭えなかった。鯖江で買った普段使いのメガネも、ひとつ持っているし。

これは儀式。メガネを買うという行為で、もうひとつ覚悟を決めたというか、本当はやらなきゃだけど、目を逸らしたいことを「じぶんごと」にするための。できれば何もしたくない。でも、つまずくことって、見失うことって、大体そんなことでしょう。ずっとグルグルしてることって。

世の中の大きなできごとに一喜一憂するのはそれはそれとして、こっちの視点もそばに置く。できることから、ひとつひとつ。実はそれが一番の近道だったり。

Date: 16/11/14 Photo: SIGMA dp3 Quattro