1471|東北(10)気仙沼の夜

この写真を撮ったのが伊藤雄一郎さん。伊藤さんご本人もこの場所にいました。伊藤さんはこの土地に住む僕より年上の男性で、震災を経験しています。カメラマンというわけでもなく、この場所から気仙沼の「今」を発信し続けています。この空間に入るやいなや気さくに話しかけて下さり、2年前に起こったことから最近のことまで、ここでは伝えきれない事実をいろいろと教えて下さいました。その上「今夜キャンドルナイトするから良かったら一緒に飲もうよ?」とまで声をかけていただき、遠慮なくお言葉に甘えさせてもらいました。

伊藤さんが作った風の広場。今いる建物からすぐの場所にあります。住宅の基礎が残るこの場所で、ひときわ目を引く空間。中央の時計は地震が起きた14:46を指しています。伊藤さんはこの場所を鎮魂の場として、気仙沼のシンボルとしてずっと守り続けています。

キャンドルナイト。伊藤さんを中心に、初めましての方が集う、新鮮な時間。夕方の続きとばかりに、夢のある話から思い返すのもつらい事まで、いろんな話を聞かせて下さいました。しゃべくり大好きの僕も終始聞き役。詳しいことは、機会があれば改めて伝えます。簡単には、書けない。

壮絶な経験の先に芽生えたまっすぐな覚悟と気仙沼という土地や人、環境への愛を感じて、ひとりの人間が持つ力ってすごいなって、その時あらためて感じました。初めてお会いしたばかりなのに、伊藤さんとはしがみついてでも関わりを絶ちたくない、そんな気持ちでいっぱいでした(続きます)。

Date: 13/07/13 Photo: Nikon D300 + AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G