デザイナーのM

光源

急ぎの仕事は楽しい。

デザイナーによって意見が大きく分かれるところですが、僕は好きです。頼まれたその瞬間、頭では「う〜ん、厳しいなぁ」と冷や汗をかきながらも、同時に自分の中の「M」な部分が刺激され、アドレナリン大放出。身体は嘘をつけない。こういう仕事でのみ得られる特有のグルーヴ感も好き。デザイナーとはそんな生き物です(たぶん)。やりたいわけじゃないけど、決して嫌なわけでもない。「世話が焼けるんだから、もうっ!」みたいな心境。

時間が限られているせいか凡ミスが多いように思われがちですが、実は少ない。急ぎという悪条件が逆に緊張感を研ぎ澄まし、普段よりいい結果に繋がることも少なくありません。ファール4つもらった時の魚住みたいなもの。余計な事は一切考えず、最短距離を一直線に駆け抜ける。その迷いの少なさは、如実に結果として現れます。デザイナーに限ったことではありません。

納期に余裕のある仕事でも、意識的に自分を追い込めば、つまり脳をだませば、似たような結果が得られます。加圧トレーニングの仕組みと同じ。そんなわけで急ぎの対応はその性質上、費用こそ余計にかかってしまう場合もありますが、品質に影響があるかというと、むしろいい結果になることが多いのです。時間に余裕があるからいい結果が得られる、とは限らないのです。

Date: 12/04/19