2126

rain

「見透かされそう。」

よく、そんな風に言われる。相手を深く理解しようと努めれば努めるほど、そう思われてしまう。同じくらい「分かってもらえそう」とも言われる以上、表裏一体の性質から逃れることはできない。包丁はとても便利だけれど、人を殺める凶器にもなるのと同じこと。どう足掻いたって、逃れられない。

どれだけ自分で「見透かすつもりなんてないのに」と主張したところで、最後は解釈する人に委ねるしかない。見透かされたくない気持ちを強く持っている人であればあるほど、怖い存在として見られてしまう。残念だけれど、そういうものでしかない。

いま、お仕事ご一緒している方の中でも「会うのに緊張する」という人もいる。それでも勇気を持って関わって下さることが、デザイナーである前に、ひとりの人間としての冥利に尽きる。そのまんまの感情で、全力で期待に応えたいと思える。

誰かを怖いと思う感情は、とても素直なもの。それを乗り越えてくれた人を見透かそうだなんて、とんでもない。僕にだって人が怖いと思うことはある。だからこそ、知ろうともする。

Date: 17/06/21 Photo: SIGMA dp3 Quattro