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wild grasses

文章を書くことより『文字』そのものを書くことに関心が向いている。一日3分でもいいから筆を持つようにして、字を書いたり絵を描いたり。今まで培ったものを脇に置いて、新しい芽を伸ばす。筆に限らず、この頃そんなことをしています。

wild grasses

仕事以外ではしばらく撮る気にならなかった写真も久々に撮り始めた。お相手は野草。何年か前にフォトグラファー“やまのり”と里山十帖に泊まった時「ふだん我々が目にしている草の7割は食べられるんですよ」と教わった。知り得た複線を数年越しに回収する。カタチをよく知りたくてスケッチしたい欲まである。植物のスケッチといえばイラストレーターの黒田潔さんを思い出す。

field horsetail

ツクシは小さい頃に食べたことがある。たくさん取ったのに、料理すると「たったこれだけ?」とガッカリするほど少なくなった記憶。子供には苦くて、あまりいい印象を持ってない。大人になって、この時期に苦みを摂っておくことがいいと知る。視点を変えるだけで物事は一変する。偏った視点は頑なさを生んでしまう、良くも悪くも。視点はあくまで『点』。ひとつに過ぎない。ひとつをたくさん増やす。

wild grasses

野草ではないけど力強さに惹かれた。生きようとするチカラ。止まっているのに動的なエネルギーが感じ取れる。人間にも力を蓄える時期が要る。結局は目の前のことをひとつひとつ着実にやるのが一番の近道、この頃そんな当たり前の風潮が浸透しつつあるように感じる。そうだったら嬉しいな。自分のためだけの大声なんて嫌いだ。

glycyrrhiza

カンゾウ。ちょうどきのう、いただきもののカンゾウでパスタをつくってみた。食べてビックリ、とっても美味しい。デトックス効果があるんだそう。そんなことは抜きにしてただシンプルに美味しくて、一瞬で好きになった。目から鱗が落ちる体験。新元号を直前にして新しい世界が広がった気分。自分の世界なんて実は意識しなくていい。そんなもの笑えるほどに小さいんだから。ココロ細くなった時にはすぐ戻ればいい。

allium macrostemon

ノビル。文字通り伸びている。しかも石垣の隙間から生命力を漲らせて。美味しんぼの山岡さんがこうも言ってた。「ビールに合うから、ノビールってんだよ」と。ぜひビールと合わせてみたい。厳密には根っこの方だけど。

cardamine flexuosa

タネツケバナ。名前だけ覚えたところ。覚えるのは大変、なんてことはこれっぽっちもない。覚えると決めたら『どう覚えるか』『どう楽しむか』考えるだけ。まだまだ覚えたいことがあるなんて、幸せ以外の何者でもない。覚えなきゃいけないこととは似て非なるもの。知りたいことだらけだ。

海月が雲になる日。

金沢の『海月が雲になる日。』さんでタイカレー。すでに金沢という非日常の場所に輪をかけた非日常感。非日常なのに、かかっていた曲は大好きな大貫妙子。そうやって生まれた安心感のある非日常。音楽や空間まで含めて五感が喜んだ。やっぱり旅はいいなあ。視点を変えると旅のカタチもまた変わる。

Date: 19/03/29 Photo: SIGMA sd Quattro + SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Art